〜プロットから読む β荵杏分析〜 「その女アレックス」ピエール=ルメートル 橘明美【訳】 文春文庫 「ALEX」 Pierre Lemaitre

評価:
ピエール ルメートル
文藝春秋
¥ 929
(2014-09-02)

第二部の終盤でアレックスが自殺したため第三部の主観は基本的にはカミーユたち捜査陣のものになる。

この物語はミステリーであるため、主観は取るが謎(伏線)は謎のまま、真意を明かさないまま話が進む部分がある。このあたりはミステリーならではだろう。

 

【第三部のあらすじ】第三部 51章〜62章(計12章) 頁数112

 アレックスの母と兄の事情聴取をする捜査陣。

 アレックスの遺品から母と兄の妹を食い物にした非道な買春斡旋と近親相姦、アレックスへの虐待に気付く捜査陣。

 正義の名の下、カミーユたちはトマにアレックス殺害の罪をかぶせる。

 カミーユは仲間がずっといてくれたことに気付き立ち直る。

 

 

では、章ごとの筋を見ていこう。

 

 

51、予審判事ヴィダールから犯人アレックスの死という結果を突きつけられカミーユは事実上の辞職勧告を受ける。

 

52、アルマンがアレックスの最後の私物をみつける。

 

53、カミーユは競売による母親の絵の売却金28万ユーロをどうするか悩む。

 アレックスの母、プレヴォ夫人を呼び出し聴取する。

 

54、アレックスの兄トマ=ヴァスールの聴取。

 ルイはアレックス誘拐犯ジャン=ピエール=トラリユーの通話記録からすでにトマと一度会っている。

 ル・グエンは上層部と捜査班の間に立つと腹を括った。それは上からいろいろ言われているカミーユを引き上げるためだ

 兄トマとパスカルは中学時代の知り合い。

 アレックスの断片的な日記にはトマが来ると記載がある。これはトマがアレックスをレイプしていたのではないかとカミーユは考えている。

 

55、トマに被害者の確認をする。

 被害者全員とトマには接点がある。

 アレックスの怯えたような写真、トゥビアナ嬢の証言からアレックスが13歳のときに何かあったと推測するカミーユたち。

 

56、ザネッティ夫人の情夫だったフェリックス。そしてフェリックスを繋ぎ留めておくためにザネッティ夫人はトマからその妹を買い、フェリックスにあてがった、と推測する捜査陣。トマは妹を「貸し出し」ていたと推測する捜査陣。

 トマ「なぜ私がそんなことを?」

 

57、アレックスの性器は酸で焼かれていた。

 プレヴォ夫人にアレックスの焼け爛れた性器について聞き取り。

 プレヴォ夫人は準看護師として働いており処置ができたはずだった。

 トマは妹アレックスが自分で売春をしていたのではないかと臭わす。

 

※55章のトゥビアナ嬢の証言と照らし合わせるとアレックスは1986年ごろから1989年ごろまでトマにレイプ・貸し出しをされている。1989年に性器を酸で焼かれたのは妊娠を隠すため?

 

58、捜査陣はトマにアレックスから強請られていたかと訊ねる。警察留置24時間が始まる。

 

59、カミーユはトマと弁護士が面会する間、一時帰宅する。

 母の自画像が一枚送られてきている。ルイの仕業だと思う。

 トマにアレックス殺害容疑を掛けていく捜査陣。

 

※カミーユたちは真相に近づくにつれトマの悪業に気付く。そして正義のためにトマをはめようとしている。ヴィダールがこの案に同調したときカミーユは居心地の悪さを感じる。

 この後、カミーユはルイへの感謝を(図らずも)吐露し、アルマンに感謝し、ル・グエンとの友情を感じる。つまりカミーユは孤独でもなんでもなく仲間はもういたのだ。

 

60、トマは捜査陣に追い詰められでっち上げのアレックス殺害容疑を掛けられ弁解したくてしょうがない。

 カミーユはルイに絵のお礼を言おうとするがルイの仕業ではなかった。そして話の流れでルイへの感謝の念に気付く。

 警察留置はさらに24時間延長される。

 

61、アレックス殺害容疑についてトマはアレックス「達」、捜査陣の罠だと気付く。

 しかしもう遅かった。アレックスが用意した髪の毛のDNA鑑定は完了し、「いるはずのない」トマの毛髪がアレックスの泊まった部屋で見つかっていたのだ。

 

62、母の自画像を送ってきたのがアルマンだと気付くカミーユ。けちでたかり屋で金にみみっちいアルマンが競売で大枚はたいて買い戻したのだ。カミーユはそのけち振りを知っているだけにアルマンを尊敬する。

 ヴィダール「我々にとって大事なのは真実ではなく正義」

 

 

JUGEMテーマ:外国文学

コメント