〜プロットから読む 々柔〜 「その女アレックス」ピエール=ルメートル 橘明美【訳】 文春文庫 「ALEX」 Pierre Lemaitre

評価:
ピエール ルメートル
文藝春秋
¥ 929
(2014-09-02)
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フランスの作家ピエール=ルメートル作「その女アレックス」をプロットの組み立てという観点から俯瞰で眺めその面白さの秘密に迫る。

 

まず全体的な形、構成をとらえる。

それから章ごとの内容、伏線などを捉えていく。

大きいところ、形式的なところからだんだん細かく見ていく。

 

また感想は基本的に別記事で書くのでここではあくまで分析としたい。

 

内容がずばりと書いてある部分があるのでご了承いただきたい。

 

 

では早速。

 

 攅柔】

 

まず、この小説は、3部構成となっている。

 

序破急あるいは演劇でいうところの三幕構成の形をとっている。

 

第一部、第二部、第三部と分かれているのはそのまま小説内にも書かれている。

そしてこの小説の複雑なプロット、登場人物の多さからするとこの基本構造が物語全体をしっかりと支える柱となっていることがわかる。

 

一見この構成は単純に見えるがこの基本構造をしっかりと踏まえているからこそ面白い小説になっているのだろう。

これがもし複雑な形を採っていると「難しくてつまらない」小説になってしまっただろう。

 

さらに各部をもう少し形式的に見てみる。

 

大きく3区分されたこの小説は更に1〜62の通し番号をつけたシーンの集まりでできている。

 

具体的にはこうだ。

 

・第一部 1〜25章 (計174頁 25章 1章あたり5,586字)

 

・第二部 26〜50章 (計144頁 25章 1章あたり4,786字)

 

・第三部 51〜62章 (計112頁 12章 1章あたり7,421字)

 

※原文はフランス語であり、上記文字数は改行や空白は考慮していないためページ数も含めてあくまで目安の数値。ただし部や章の数はそのままである。文字の算出は19行×42文字/頁(頁内に改行も空白もなく文字が並んだとした場合の文字数)で計算。

 

こうしてみると第一部と第二部はまったく同じ章数の25だ。

字数に若干差があるが第一部はカミーユたち警察側の登場人物の会話が多く、第二部はアレックスのモノローグが増えるため、改行の数が影響しただけで字数には実はあまり差がない。

第三部は解決編あるいは解明編で第一、二部それぞれの約半分の12章だ。

 

文字数は第三部が多く見えるがこれは会話シーンがさらに多いからで実際はこれほどの差はないと思われる。

 

いろいろ注意書きが多くなってしまったが、この3幕構成は明らかに作者が狙った形だ。

 

その真意は作者に聞かねばわからないが、非常に短い章の連続で場面展開・場面移動をみせることで読者の読みたい欲求≒大小のクリフハンガーを何度も仕掛けている。

また短いシーンの連続は緊張感を高め、維持する効果もある。

 

全体を3部構成にし、そのシーンの中に伏線あるいはクリフハンガーを必ず仕掛けることにより飽きさせない、もっと読みたいと思わせることに成功している。


クリフハンガー(英:cliffhanger or cliffhanger ending) とは作劇手法の一つである。

劇中の感極まる盛上がる場面、物語の「クライマックス」、例えば主人公の絶体絶命のシーン、又は、新展開をみせる場面などで物語を「宙吊りのまま」中断して「つづく」としてしまうエンディングである。

 

次回は◆敕仂貎擁の変化=大胆な展開】として、プロットから見たキャラクターの魅力に迫る。

 

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